一般にアジャイルはクラウドネイティブなSoEアプリケーションに適しているとの認識があるが、果たしてSoR、いわゆる基幹システム領域への適用は可能だろうか。経験に基づく答えはイエスである。
最も成功したSoRシステム構築へのアジャイル適用事例として、立命館大学の基幹再構築プロジェクト「RISINGⅣ-G」を挙げる。本格的なプロジェクト開始は2015年で、当時IBM i 周辺でアジャイルによる開発スタイルは一般的ではなかったし、スタート当初はプロジェクトメンバーも明確にアジャイルを意識した開発を志向してはいなかったと記憶している。
しかし実際の開発は、明確にアジャイルの特徴をすべて備えていた。BVC、ショーケース、少人数のチーム体制での開発、1?2週間ほどの短期間でイテレーションを繰り返す形式での開発、細かく機能分割して開発実装、レトロスペクティブなど、今振り返るとすべてがアジャイルそのものであった。
アジャイルは従来のアプリケーション構造、インフラ基盤を完全に捨て去り、まったく新しいITを作り上げようと決断する時、SoEでもSoRでも最善の開発を実現できるのである。
著者|
佐々木 幹雄
日本アイ・ビー・エム株式会社
システム事業本部 Power Systemsテクニカル・サポート
コンサルタントITスペシャリスト
システム事業本部 Power Systemsテクニカル・サポート
コンサルタントITスペシャリスト
AS/400誕生とほぼ同時期からIT業界に関わる。IBM i やPC、ネットワーク機器など一般企業のIT基盤の提案・構築、アーキテクトなどを幅広く経験。IBM i エバンジェリストとしての活動もある。
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特集|IBM iのマイクロサービス化
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Column 1 OpenShiftかKubernetesか
Column 2 どこでもKubernetes
Column 3 ミドルウェアのコンテナ化対応
Column 4 SCNは戦略策定のためのフレームワーク
Column 5 ハイブリッドクラウド移行(中期)計画を作る
Column 6 アジャイルはSoEだけのものか?
Column 7 IBM iサービスとDb2 for iサービス
Column 8 IBM iのクラウドサービス
Column 9 コンテナテクノロジーを導入しても、イノベーションは起きない
[i Magazine 2020 Spring掲載]